【パターンで覚える】認定心電技師が教える心電図の読み方【3つの手順】
- 当直で心電図を撮るようになった
- 最低限読めるようになりたい
- 緊急性のある波形が分からない
こんなお悩みを解決します
心電図に携わったばかりだと波形がいくつもあったり略語が多かったりと分かりにくいですよね
この記事ではこれから心電図業務に就く方に向けて簡単な心電図の読み方を紹介します
今回は不整脈にフォーカスしています
パターン化して判読できるよう簡略化していますので、詳しく知りたい方はコチラを参照ください
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ステップ① 脈拍を見る
極端に脈が早い 遅い波形を見た場合、まず患者と会話できるか、苦しそうにしていないか確認しましょう
様子が安定している場合のみ判読を試みてください
ぱっと見で、脈が早いか遅いか
QRSが整っている(キレイ)か不整(バラバラ)かこれで大体分類されます
パターン化すると以下の通り
心電図パターン①
早い × 整
洞性頻脈 発作性上室頻拍(PSVT) 心房粗動
早い × 不整
頻脈性心房細動
遅い × 整
洞性徐脈 房室ブロック(1度、3度) 余裕があれば洞房ブロック、補充調律
遅い × 不整
1拍抜けたような感じなら房室ブロック(2度) 洞停止
徐脈性心房細動
洞機能不全症候群
ステップ② QRSの広さはどうか
QRS幅が広いタイプは難しい
脚ブロック、心筋症、虚血、軸変異など
不整脈だけが原因ではないことも多いです
ぱっと見自信を持って脚ブロックと分からなければVTかも?と思って行動
背景に心筋症や虚血性心疾患など器質的疾患が無いか猶予があれば確認しておきましょう
ステップ①のパターンにQRS幅を加えると以下の通り
心電図パターン②
幅が広い × 早い × 整
このパターンは要注意
バイタルが保たれていることをまず確認してください
P:QRSが1:1で出ていれば脚ブロック+洞性頻脈、脚ブロックを伴うPSVT、AFL、ATなど
Pがポツポツ出ている、分からない場合(いわゆる房室解離の所見)はVTの可能性あり
患者から目を離さず応援要請
(上級技師、当直中であれば主治医当直医へ連絡が必要)
幅が広い × 遅 × 整
このパターンは補充収縮・調律の可能性あり
※補充調律とは:とりあえずの安全装置のような機能が作動している状態
徐脈性心房細動や洞停止or高度ブロック+補充調律など
一時ペーシングや追加検査を行う必要あり、上級技師や主治医に連絡が必要
幅広 × 早い × 不整
脚ブロック+心房細動など
稀にWPWかも (いわゆるpseudo VT 難しいのでここまではOK)
幅広 × 遅 × 不整
脚ブロックを伴う心房細動 洞徐脈+ブロック など
複合する場合もあります
ステップ③ PとQRSに注目
PとQRSの関係を見ていきます
通常P→QRS→Tと一連の流れで電気が流れています
P:心房が収縮 QRS:心室が収縮
完全房室ブロックのように心房と心室が別々に動いてしまう場合、
心電図上はPとQRSがバラバラだったり
ときに重なってしまうことがあります
これが「繋がっていない」という状態です
ディバイダーがあれば比較的簡単に判別できます
徐脈の鑑別
徐脈の鑑別にPとQRSの関係を見る
PとQRSが重なっている or PQ間隔がバラバラ
完全房室ブロック or 房室解離
Pが無い場合
整なら補充調律 不整なら慢性期心房細動
PとQRSの出現回数
ぱっと見でP>QRSなら完全房室ブロック P≒QRSなら房室解離
心拍数の速い場合
P>QRSでも徐脈になっていない場合は心房頻拍かも
緊急性は低いが波形が分からなければ上級技師に相談
頻脈の鑑別
頻脈の場合、PとQRSの関係を見ることでPSVT(AVRT AVNRT PAT) AFL AFなど
鑑別の一助になります
ただし熟練でもこれは難しい
心電図検定やフォトサーベイの問題でも回答が分かれるレベルです
PSVT か 心房細動・粗動かが分かればOK
PSVTの鑑別を出来るようになりたいという方はコチラ
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まとめ
- よく分からない頻脈・徐脈はとりあえずバイタル確認
- 幅広 × 早い × 整 はVTかも?と思って行動
- 遅い × 不整 は房室ブロックかも 1拍以上抜ける場合や2秒以上開く場合は上級技師や主治医に相談